神 様 は 見 て は る ついに我が家もデジタルテレビを購入することになった。 私は、お目当てのテレビを1円でも安く手に入れようと、何軒かの電気店を見て回った。そして、最後に駅前の家電量販店へたどり着いた。この店では、お目当てのテレビは、12万5千円。先ほどのぞいたA店は12万4千800円だった。その時、ある張り紙が私の目にとまった。「どの店よりも安くします。もし、他店より1円でも高い場合は店員にお申し付けください」私は、近くにいた若い店員にこう言った。 「このテレビ、A店は12万3千円でしたよ」「えっ! 本当ですか?」若い店員は、びっくりしている。「おたくも12万3千円にしてよ」 店員は焦りながら電卓をはじいている。 「うーん、わかりました。じゃあ、12万3千円に、これを付けさせてもらいます!」差し出したのは、携帯型の小さな扇風機。 「よし、じゃ買うよ」 「ありがとうございます!」 「言ってみるものだな・・・」私は、してやったりという気持ちでニンマリしながら店を出た。しかし、電車に乗って帰る途中、なぜか心がモヤモヤしはじめたのだ。 私が幼い頃、こんなことがあった。 その日、祖母は出先の近くの八百屋で野菜を買い、帰路についた。しかし、帰宅してから、おつりを多くもらっていたことに気付き、わざわざまた電車に乗って、その八百屋におつりを返しに行ったのだ。おつりを返して帰宅した祖母は、私にこんな話をしてくれた。 私「なんでわざわざ返しに行ったん!。2回も電車代使ったら、おばあちゃんが損するやん」祖母「そやけど後でお金が合わなんだら、お店の人が困りはるでなぁ・・・」 私「ふーん。でもお店の人が間違えたんやから、そのままもらっといたらよかったのに・・・」祖母「そやけど、何回財布見ても、お金が増えてんねんもん。神さまが『お店の人が困るから返しに行ってあげなさい』いうて、おばあちゃんに気付かしてくれはったんやわ」 私「けど、お店の人は気付いてへんやんか」祖母「あのなあ、お店の人は気付かんでも、神さまは見てはるんやで。正しいことしとったら、後で神さまが帳尻合わしてくれはるねん。そやから、あんたも神さまだけは放したらあかんよ!おばあちゃん、そのことだけは、ずっとお願いしとるで」電車の中で私は、亡き祖母の言葉を思い出していた。「ふぅ〜」大きく息を吐くと、心のモヤモヤも一緒に出て行ったような気がした。そして私は、次の駅で降りた。「神さまごめんなさい。」 ホームに降りた私は、空を見上げてペコリと頭を下げ、店に戻った。 ○「人よりよい目がしたい」「自分だけが幸せになればいい」という思いは、誰もが少なからず持っているものです。しかし、そういう思いだけにとらわれすぎると、争いや人間関係のいざこざなど、様々な問題を引き起こし、自分自身が悩み苦しんでしまうこともあるでしょう。 自分だけの助かりを願うあり方ではなく、自分も相手も助かって行くあり方を求めて行くことを、神様はお喜びくださいます。 「金光教ホームページ」より |
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